VOCALOIDの青いお兄さん中心に好き勝手に書き散らしてるブログ。オフライン情報がメイン。
作品はピクシブにて公開中。ジャンル雑多になりつつあります。
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オオカミ少年になってしまいました……。カミナリが……(泣)。
明日が過ぎたら、サクサクといきます。
明日が過ぎたら、サクサクといきます。
**********
静寂を破るような、けたたましい音が耳に届いた。
「――――!?」
弾かれるように顔を上げて周囲を見渡す。
いつのまにか意識が落ちていたらしい。視界に映った空はすでに暗くなっていた。
音を立てないようにドアに近寄り、耳を澄ます。
一体、なんの音だったんだ……?
先ほどの騒音が嘘のように部屋は静まり返っている。
慎重にドアを開け、周囲を見渡す。――どこもかわったところはない。
窓付近も変化はない。ということは……。
「玄関だけか……」
そろりと玄関へと続く扉に近づき、ガラスの向こうを伺う。
玄関を入ったすぐのところに、壁にもたれるように影がうずくまっていた。
「マスター?」
声をかけると、わずかに肩が動く。しかし、それだけだった。
脳裏に倒れた博士が過ぎってすぐ消えた。
……そんなことは、多分ない。だって、この人はどこも怪我をしていない。だから……。
「だいじょう、ぶ……ですか?」
声が喉に張り付いてしまったかのように、なかなか出てこない。
しばらく見つめていると、閉じられていた瞼がそっと開けられた。
ぼんやりとした瞳。俺と目が合う。何度かの瞬きの後、再び閉じられる。
つらいのか考えているのかわからないが、眉間に皺が寄る。
その表情が青ざめていることに気付いたのは、このときだった。
血の気を失い白くなっている額に対し、頬が赤らんでいる。
手を伸ばし、マスターの顔に触れると思っていたよりも熱かった。
「熱が……」
「ない。し、寝不足になるといつもだから大丈夫だ」
俺の言葉を待たず、マスターは壁を使って体を持ち上げる。が、上手くいかないようでずり落ちてしまう。
慌てて脇を支えると、軽く睨まれた。
「大丈夫だから、離せ」
「ふらついて、足元がおぼつかないのに?」
VOCALOID以前に、アンドロイドだ。現存するすべてのアンドロイドに、人間の安全を最優先することが義務としてインプットされている。
危険な場所でというだけではなく、怪我が今の彼のように体調不慮のときもそれは適応される。
それに――――。
「――俺は、もう二度とマスターを失いたくないんです」
俺の手を借りるのを不服そうにしている彼を正面から見据える。
「……亡くなったのか?」
誰がとは聴かなくてもわかる。巻き込んでしまった博士のことに間違いないだろう。
静かに首を横に振る。血を流していた博士を救護隊に預けた後、いられないと出てきてしまったから。
「わかりません。でも、大切な存在が苦しんでいるのはもう見たくないです」
成り行きのマスターとは言え、最優先するべき存在になっている。たとえ、調整を受けていなくても……。
そんな俺の考えを読み取ったのか、彼の口がわずかに歪む。
「……ろくにお前の調整もしてないのに?」
どこか自嘲的な響きを含んだ言葉に、「それでもです」と力強く返す。
「マスター登録をしたときから、あなたは俺のマスターなんです。一度登録された情報は、博士以外に消せません」
俺たちの記憶が簡単に消されてしまわないようにという博士の配慮だ。製作者本人か、パスワードを入力しなければ覚えたことは削除できない。
だるそうに揺れる茶色がなにかを図るように向けられる。
逸らさずに見つめ返すと、小さな苦笑がマスターの口から零れた。
「ベッドまで頼む」
そう言うなり、支えていた腕にずしりと体重をかけられた。立っていることもつらかったようだ。
「わかりました」と返すと、なぜかマスターが笑った気配がした。
静寂を破るような、けたたましい音が耳に届いた。
「――――!?」
弾かれるように顔を上げて周囲を見渡す。
いつのまにか意識が落ちていたらしい。視界に映った空はすでに暗くなっていた。
音を立てないようにドアに近寄り、耳を澄ます。
一体、なんの音だったんだ……?
先ほどの騒音が嘘のように部屋は静まり返っている。
慎重にドアを開け、周囲を見渡す。――どこもかわったところはない。
窓付近も変化はない。ということは……。
「玄関だけか……」
そろりと玄関へと続く扉に近づき、ガラスの向こうを伺う。
玄関を入ったすぐのところに、壁にもたれるように影がうずくまっていた。
「マスター?」
声をかけると、わずかに肩が動く。しかし、それだけだった。
脳裏に倒れた博士が過ぎってすぐ消えた。
……そんなことは、多分ない。だって、この人はどこも怪我をしていない。だから……。
「だいじょう、ぶ……ですか?」
声が喉に張り付いてしまったかのように、なかなか出てこない。
しばらく見つめていると、閉じられていた瞼がそっと開けられた。
ぼんやりとした瞳。俺と目が合う。何度かの瞬きの後、再び閉じられる。
つらいのか考えているのかわからないが、眉間に皺が寄る。
その表情が青ざめていることに気付いたのは、このときだった。
血の気を失い白くなっている額に対し、頬が赤らんでいる。
手を伸ばし、マスターの顔に触れると思っていたよりも熱かった。
「熱が……」
「ない。し、寝不足になるといつもだから大丈夫だ」
俺の言葉を待たず、マスターは壁を使って体を持ち上げる。が、上手くいかないようでずり落ちてしまう。
慌てて脇を支えると、軽く睨まれた。
「大丈夫だから、離せ」
「ふらついて、足元がおぼつかないのに?」
VOCALOID以前に、アンドロイドだ。現存するすべてのアンドロイドに、人間の安全を最優先することが義務としてインプットされている。
危険な場所でというだけではなく、怪我が今の彼のように体調不慮のときもそれは適応される。
それに――――。
「――俺は、もう二度とマスターを失いたくないんです」
俺の手を借りるのを不服そうにしている彼を正面から見据える。
「……亡くなったのか?」
誰がとは聴かなくてもわかる。巻き込んでしまった博士のことに間違いないだろう。
静かに首を横に振る。血を流していた博士を救護隊に預けた後、いられないと出てきてしまったから。
「わかりません。でも、大切な存在が苦しんでいるのはもう見たくないです」
成り行きのマスターとは言え、最優先するべき存在になっている。たとえ、調整を受けていなくても……。
そんな俺の考えを読み取ったのか、彼の口がわずかに歪む。
「……ろくにお前の調整もしてないのに?」
どこか自嘲的な響きを含んだ言葉に、「それでもです」と力強く返す。
「マスター登録をしたときから、あなたは俺のマスターなんです。一度登録された情報は、博士以外に消せません」
俺たちの記憶が簡単に消されてしまわないようにという博士の配慮だ。製作者本人か、パスワードを入力しなければ覚えたことは削除できない。
だるそうに揺れる茶色がなにかを図るように向けられる。
逸らさずに見つめ返すと、小さな苦笑がマスターの口から零れた。
「ベッドまで頼む」
そう言うなり、支えていた腕にずしりと体重をかけられた。立っていることもつらかったようだ。
「わかりました」と返すと、なぜかマスターが笑った気配がした。
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