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VOCALOIDの青いお兄さん中心に好き勝手に書き散らしてるブログ。オフライン情報がメイン。 作品はピクシブにて公開中。ジャンル雑多になりつつあります。
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 左右に並ぶ簡易店舗。色とりどりのシロップが並べられていたり、詰めたばかりの食べ物がところ狭しと並べられている。
 屋台の中からは店主が威勢よく声を張り上げ、客足を得ようと必死だ。
 通り道となっている場所は人でごった返し、普通に歩くのも困難な状態になっている。
 どうして、こんなところに来るはめに……。
 人ごみに疲れ始めた頭でゆっくりと思い返す。
 つい30分前まで普通に夕飯の買い物をしていたはずだ。その帰り道、聞こえてきた太鼓の音にカイトが反応した。

『なんの音ですかね』

 ビニール袋を抱えなおして、じっと真上を見るカイトに、

『太鼓の音だろ? どっかで祭りでもやってるんじゃないか』

 当たり前のようにそう返した。
 大体、俺は祭りはあまり好きじゃない。なに買うにも並んだりするし、人ごみは確実だし。
 この年齢になってくると、売っているものにも興味を持たなくなるものだ。
 そんなことを考えながら歩き出したが、カイトは動かなかった。
 なにか楽しいことでも聞いたみたいに、青い瞳にきらきらと光が宿っていた。

『行ってみたいです』

 そういわれ、ついうっかり来たわけだが。
 ……なんで俺、頷いたんだ。
 そのときの判断を呪いたくなる。やっぱり人は多いし、歩くたびに誰かとぶつかるのが当たり前になってきた。
 イライラし始めたとき、ふいに右手になにかが触れた。
 少し冷たくて、俺より少し大きい柔らかい手のひら。
 ふと視線を落とし、握られている手を見つめる。無意識に腕を辿り、その持ち主に目線がたどり着く。
 カイトがにっこりと満足げな笑みを浮かべていた。

「こうやってしっかり手を繋いでいれば、はぐれないですよね?」

 こんな簡単なことにどうして気付かなかったんでしょうね。どこかはしゃいだような声でそういわれる。

「……単にお前が迷子にならないように、だろ?」
「……マスター、ひどいです。それ」

 目に見てわかるぐらい、落ち込み始めるカイトに思わず噴出しそうになる。
 軽く目を泳がせて、反対側に視線を投げる行動にまた笑いを誘われる。

「もう、いいですよ……」

 明らかにすねた口調で解こうとするカイトを無視して、しっかりと手を握り返した。

「え……? あの、マス……」
「こんなところで迷子になられたら迷惑だしな。繋いどいてやるよ」
「――マスターっ!」

 今にも抱きついてきそうなカイトに、繋いでいる手に思い切り爪を立てる。

「……痛っ」
「そこまで許してないだろ! てか、人前でやるなよ!? 絶対に!」
「……だめ、ですか?」
「返事は?」

 そろそろとした伺いをきっぱりと切り捨てる。
 同性同士の恋愛がさほど珍しくなくなったとはいえ、公衆の面前でそんなことをする趣味は俺にはない。

「へ・ん・じ」
「………………わかりました」

 睨み付けながら、なかば強制的に頷かせた。
 安心したつかの間、ふいに腕を引っ張られる。
 さきほどより近くなった青い瞳が、ふんわりと和らぐ。

「おま……っ!」
「こうしたほうが、絶対にはぐれないですよ?」

 自分から繋ぎなおした手前、いまさら離せと言えるはずもなく、大人しくそのままにせざるを得なかった。
 時折聞こえるカイトのはなうたに、このままでよかったかも知れないと思う反面、返ったら説教してやろうと固く決意をした。


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