VOCALOIDの青いお兄さん中心に好き勝手に書き散らしてるブログ。オフライン情報がメイン。
作品はピクシブにて公開中。ジャンル雑多になりつつあります。
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目を背けて、ブログを色々いじってみました。
実質土曜日が締め切りなんてうそだ……。
カイマスの話立てをきちんとしつつ、リンレンの話を考えていたら、うっかりレンマスとかいうものが浮かびました……。
うちのボカロのみなさんは、どうしてこうも攻めたがるのか……。
ちっとは受けろよっ!可愛いボカロ男の子見たいよ、読みたいよ……。
あっ、あたらしく増やしたカテゴリの「intermezzo」は通し番号付いてますが、つながってはいません。
単発SSなのですが、普通に表記するよりもVOCALOIDなんだし、せっかくだし音楽用語でいいじゃない☆というお気楽思考により、増やされました(笑)。
発音記号が読めなかったんですが、たしかやたらと発音しずらかったような気が……。
「interlude」より意味合い的にこちらのほうがあっていたので、採用。
自分の首を絞めた気がしないでもない。
スパコミ前に告知が出来るといいなぁと、若干夢を見ています……。
もうひとつの原稿投げたいよう……。
実質土曜日が締め切りなんてうそだ……。
カイマスの話立てをきちんとしつつ、リンレンの話を考えていたら、うっかりレンマスとかいうものが浮かびました……。
うちのボカロのみなさんは、どうしてこうも攻めたがるのか……。
ちっとは受けろよっ!可愛いボカロ男の子見たいよ、読みたいよ……。
あっ、あたらしく増やしたカテゴリの「intermezzo」は通し番号付いてますが、つながってはいません。
単発SSなのですが、普通に表記するよりもVOCALOIDなんだし、せっかくだし音楽用語でいいじゃない☆というお気楽思考により、増やされました(笑)。
発音記号が読めなかったんですが、たしかやたらと発音しずらかったような気が……。
「interlude」より意味合い的にこちらのほうがあっていたので、採用。
自分の首を絞めた気がしないでもない。
スパコミ前に告知が出来るといいなぁと、若干夢を見ています……。
もうひとつの原稿投げたいよう……。
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左右に並ぶ簡易店舗。色とりどりのシロップが並べられていたり、詰めたばかりの食べ物がところ狭しと並べられている。
屋台の中からは店主が威勢よく声を張り上げ、客足を得ようと必死だ。
通り道となっている場所は人でごった返し、普通に歩くのも困難な状態になっている。
どうして、こんなところに来るはめに……。
人ごみに疲れ始めた頭でゆっくりと思い返す。
つい30分前まで普通に夕飯の買い物をしていたはずだ。その帰り道、聞こえてきた太鼓の音にカイトが反応した。
『なんの音ですかね』
ビニール袋を抱えなおして、じっと真上を見るカイトに、
『太鼓の音だろ? どっかで祭りでもやってるんじゃないか』
当たり前のようにそう返した。
大体、俺は祭りはあまり好きじゃない。なに買うにも並んだりするし、人ごみは確実だし。
この年齢になってくると、売っているものにも興味を持たなくなるものだ。
そんなことを考えながら歩き出したが、カイトは動かなかった。
なにか楽しいことでも聞いたみたいに、青い瞳にきらきらと光が宿っていた。
『行ってみたいです』
そういわれ、ついうっかり来たわけだが。
……なんで俺、頷いたんだ。
そのときの判断を呪いたくなる。やっぱり人は多いし、歩くたびに誰かとぶつかるのが当たり前になってきた。
イライラし始めたとき、ふいに右手になにかが触れた。
少し冷たくて、俺より少し大きい柔らかい手のひら。
ふと視線を落とし、握られている手を見つめる。無意識に腕を辿り、その持ち主に目線がたどり着く。
カイトがにっこりと満足げな笑みを浮かべていた。
「こうやってしっかり手を繋いでいれば、はぐれないですよね?」
こんな簡単なことにどうして気付かなかったんでしょうね。どこかはしゃいだような声でそういわれる。
「……単にお前が迷子にならないように、だろ?」
「……マスター、ひどいです。それ」
目に見てわかるぐらい、落ち込み始めるカイトに思わず噴出しそうになる。
軽く目を泳がせて、反対側に視線を投げる行動にまた笑いを誘われる。
「もう、いいですよ……」
明らかにすねた口調で解こうとするカイトを無視して、しっかりと手を握り返した。
「え……? あの、マス……」
「こんなところで迷子になられたら迷惑だしな。繋いどいてやるよ」
「――マスターっ!」
今にも抱きついてきそうなカイトに、繋いでいる手に思い切り爪を立てる。
「……痛っ」
「そこまで許してないだろ! てか、人前でやるなよ!? 絶対に!」
「……だめ、ですか?」
「返事は?」
そろそろとした伺いをきっぱりと切り捨てる。
同性同士の恋愛がさほど珍しくなくなったとはいえ、公衆の面前でそんなことをする趣味は俺にはない。
「へ・ん・じ」
「………………わかりました」
睨み付けながら、なかば強制的に頷かせた。
安心したつかの間、ふいに腕を引っ張られる。
さきほどより近くなった青い瞳が、ふんわりと和らぐ。
「おま……っ!」
「こうしたほうが、絶対にはぐれないですよ?」
自分から繋ぎなおした手前、いまさら離せと言えるはずもなく、大人しくそのままにせざるを得なかった。
時折聞こえるカイトのはなうたに、このままでよかったかも知れないと思う反面、返ったら説教してやろうと固く決意をした。
屋台の中からは店主が威勢よく声を張り上げ、客足を得ようと必死だ。
通り道となっている場所は人でごった返し、普通に歩くのも困難な状態になっている。
どうして、こんなところに来るはめに……。
人ごみに疲れ始めた頭でゆっくりと思い返す。
つい30分前まで普通に夕飯の買い物をしていたはずだ。その帰り道、聞こえてきた太鼓の音にカイトが反応した。
『なんの音ですかね』
ビニール袋を抱えなおして、じっと真上を見るカイトに、
『太鼓の音だろ? どっかで祭りでもやってるんじゃないか』
当たり前のようにそう返した。
大体、俺は祭りはあまり好きじゃない。なに買うにも並んだりするし、人ごみは確実だし。
この年齢になってくると、売っているものにも興味を持たなくなるものだ。
そんなことを考えながら歩き出したが、カイトは動かなかった。
なにか楽しいことでも聞いたみたいに、青い瞳にきらきらと光が宿っていた。
『行ってみたいです』
そういわれ、ついうっかり来たわけだが。
……なんで俺、頷いたんだ。
そのときの判断を呪いたくなる。やっぱり人は多いし、歩くたびに誰かとぶつかるのが当たり前になってきた。
イライラし始めたとき、ふいに右手になにかが触れた。
少し冷たくて、俺より少し大きい柔らかい手のひら。
ふと視線を落とし、握られている手を見つめる。無意識に腕を辿り、その持ち主に目線がたどり着く。
カイトがにっこりと満足げな笑みを浮かべていた。
「こうやってしっかり手を繋いでいれば、はぐれないですよね?」
こんな簡単なことにどうして気付かなかったんでしょうね。どこかはしゃいだような声でそういわれる。
「……単にお前が迷子にならないように、だろ?」
「……マスター、ひどいです。それ」
目に見てわかるぐらい、落ち込み始めるカイトに思わず噴出しそうになる。
軽く目を泳がせて、反対側に視線を投げる行動にまた笑いを誘われる。
「もう、いいですよ……」
明らかにすねた口調で解こうとするカイトを無視して、しっかりと手を握り返した。
「え……? あの、マス……」
「こんなところで迷子になられたら迷惑だしな。繋いどいてやるよ」
「――マスターっ!」
今にも抱きついてきそうなカイトに、繋いでいる手に思い切り爪を立てる。
「……痛っ」
「そこまで許してないだろ! てか、人前でやるなよ!? 絶対に!」
「……だめ、ですか?」
「返事は?」
そろそろとした伺いをきっぱりと切り捨てる。
同性同士の恋愛がさほど珍しくなくなったとはいえ、公衆の面前でそんなことをする趣味は俺にはない。
「へ・ん・じ」
「………………わかりました」
睨み付けながら、なかば強制的に頷かせた。
安心したつかの間、ふいに腕を引っ張られる。
さきほどより近くなった青い瞳が、ふんわりと和らぐ。
「おま……っ!」
「こうしたほうが、絶対にはぐれないですよ?」
自分から繋ぎなおした手前、いまさら離せと言えるはずもなく、大人しくそのままにせざるを得なかった。
時折聞こえるカイトのはなうたに、このままでよかったかも知れないと思う反面、返ったら説教してやろうと固く決意をした。
目の前にあるのはずっと焦がれていた太陽。
常に自分たちと――自分と共にあると思っていた。
それなのに――――。
壁に背中を預けている自分を見下ろしてくる冷たくて――どこか苦しそうなゴールデンアイズ。
だらしなくはだけた襟元から覗く鎖骨にある火傷の後に、胸が痛む。
最初に見たときも信じられなかったが、今も信じることは難しい。
彼が――ジャンがCR:5を裏切ったなど。
「ジャン、さん……」
ぽつり、と名前を呼ぶと、一瞬だけつらそうに眉が寄せられたが、すぐに元の表情に戻る。
「さすがのマッドドッグもそうなると動けない、か……」
言いながら、ジャンの視線がジュリオの左手と右の脇腹に向けられる。
「……ジャンさん――」
どちらも自分の不注意から隙を見せてしまったせいだ。
「このままだと、さすがにヤバイんじゃねぇ?」
「――――ぐ……っ」
脇腹の傷を軽く踏まれ短い声が漏れた。
浅くなる呼吸の中で、それでもジュリオは真っ直ぐにジャンを見つめていた。
「――クショウ……」
「ジャ、ン?」
「なんでっ、なんで変わらないんだよ! なんでまだ、そんな目で――!!」
絞り出すような声と共に壁を蹴るジャンに恐る恐る手を伸ばす。
「――ジュリオ」
唐突に名前を呼ばれ、ぴたりとジュリオの動きが止まる。
「はい」
「ジュリオ」
「はい、ジャンさん」
ジュリオの名前を口にするたびにジャンの顔が歪んでいく。――つらそうな、泣き出しそうな表情に。
耐え切れない、というようにジャンの体が崩れ落ちる。慌ててその体を抱きとめると、かすかに震えていた。
ジュリオの背にしがみつくようにジャンの指がシャツをきつく握りしめる。押し殺すことに失敗した嗚咽が、首筋に触れる。
「――ジャンさん」
優しく太陽を閉じ込めたような金髪を撫でながら、彼の名前を呼ぶ。
ふらふらと顔を上げたジャンに薄く微笑みかけて、彼の不安を取り除こうとする。
「貴方は、貴方です。ジャンカルロ・ブルボン・デルモンテ」
「――――ッ!」
金色の瞳が揺らいで、あふれたものが頬を伝いながら零れ落ちた。
「おっまえは……ホントに……」
くぐもった声と共に次から次へと零れる涙を唇で掬いとめる。
静かに目を閉じるジャンに誘われるように、そっと口づけた。
常に自分たちと――自分と共にあると思っていた。
それなのに――――。
壁に背中を預けている自分を見下ろしてくる冷たくて――どこか苦しそうなゴールデンアイズ。
だらしなくはだけた襟元から覗く鎖骨にある火傷の後に、胸が痛む。
最初に見たときも信じられなかったが、今も信じることは難しい。
彼が――ジャンがCR:5を裏切ったなど。
「ジャン、さん……」
ぽつり、と名前を呼ぶと、一瞬だけつらそうに眉が寄せられたが、すぐに元の表情に戻る。
「さすがのマッドドッグもそうなると動けない、か……」
言いながら、ジャンの視線がジュリオの左手と右の脇腹に向けられる。
「……ジャンさん――」
どちらも自分の不注意から隙を見せてしまったせいだ。
「このままだと、さすがにヤバイんじゃねぇ?」
「――――ぐ……っ」
脇腹の傷を軽く踏まれ短い声が漏れた。
浅くなる呼吸の中で、それでもジュリオは真っ直ぐにジャンを見つめていた。
「――クショウ……」
「ジャ、ン?」
「なんでっ、なんで変わらないんだよ! なんでまだ、そんな目で――!!」
絞り出すような声と共に壁を蹴るジャンに恐る恐る手を伸ばす。
「――ジュリオ」
唐突に名前を呼ばれ、ぴたりとジュリオの動きが止まる。
「はい」
「ジュリオ」
「はい、ジャンさん」
ジュリオの名前を口にするたびにジャンの顔が歪んでいく。――つらそうな、泣き出しそうな表情に。
耐え切れない、というようにジャンの体が崩れ落ちる。慌ててその体を抱きとめると、かすかに震えていた。
ジュリオの背にしがみつくようにジャンの指がシャツをきつく握りしめる。押し殺すことに失敗した嗚咽が、首筋に触れる。
「――ジャンさん」
優しく太陽を閉じ込めたような金髪を撫でながら、彼の名前を呼ぶ。
ふらふらと顔を上げたジャンに薄く微笑みかけて、彼の不安を取り除こうとする。
「貴方は、貴方です。ジャンカルロ・ブルボン・デルモンテ」
「――――ッ!」
金色の瞳が揺らいで、あふれたものが頬を伝いながら零れ落ちた。
「おっまえは……ホントに……」
くぐもった声と共に次から次へと零れる涙を唇で掬いとめる。
静かに目を閉じるジャンに誘われるように、そっと口づけた。
「たっだいまーっと」
着ていたコートを脱ぎながらそう口にしたジャンの動きが、ぴたりと止まる。
「ジュリオ?」
いつもなら、自分がドアを開ける前に立っていたり、飛んで迎えに来るのだが今日はそれがない。
リビングから零れる明かりが、でかけていないことを示している。
なにかあったのかと首をひねりながらリビングに向かい、またジャンの足が止まった。
ガラス張りの扉の向こうにある大して広くないソファー。そこにジャンの視線は注がれていた。
ソファーの端から少しはみ出している、紫の髪とつま先。
湧き上がる微笑ましさのまま唇を緩めながら、そっとドアを開けた。
なるべく音を立てないようにしながらソファーへと近づく。
――――よく寝てんなー……。
しゃがみこんでじっくりとジュリオの顔を見る。
規則正しい呼吸音とそれに合わせて上下する胸。
穏やかな寝顔はまるでお伽噺から抜け出してきた王子のように整っている。
――――最近、仕事ばっかだったし、な。
このまましばらく寝かせておこうと思い、毛布を取りに立ち上がる。――と、ギッと床が短い悲鳴を上げた。
「ん……」
「悪ぃ、起こし……」
慌てて振り向きながら謝罪の言葉を口にするが、瞳はまだ閉じられていた。
起きなかったことにほっとしながらも、首をひねる。
ジュリオなら今の物音で起きてもおかしくないはずだ。
思わず、眠り姫のようなジュリオをじっと見つめてしまう。
――ぴくり、とジュリオの頬がわずかに跳ねた。
「…………」
――――なるほど。
ジュリオの思惑に気付いたジャンの顔が、いたずらを思いついたような子供のそれになる。
「――オヒメサマを起こすのは魔法のキスだったっけか? ……ま、この場合王子だけどな」
誰に聞かせるでもなく呟くと、眠っているジュリオのそばまで戻り、体をかがめる。
唇が重なるまであともう少し――というところで、ジャンは思い出したように声を上げ、体を起こす。
「俺、鍵締めたっけ?」
そう言いながらソファーから離れようと踵を返す。ドアへ向かおうと足を踏み出した。だが、ジャンはそこから動くことは出来なかった。
いつの間にか起き上がったジュリオがジャンの腕をつかんでいたせいだ。
「はよ、ジュリオ」
なにか言いたげな瞳でこちらを見てくるジュリオに、ニッと笑って返す。
「あ……おはよう、ございます」
「腹減ってないか?」
「大丈夫、です」
「そっか」
そんな短いやりとり。ジュリオの腕は離れることなく――それどころか先ほどよりもしっかりとつかまれている。
「どした? ジュリオ」
「あ、の……」
「んー……?」
言葉の続きを口にしようと唇が動くが、そこからは吐息しか出てこない。
戸惑うように視線が泳ぎ、伏せられる。
――――あー……俺のほうが限界っぽい?
苦笑しながらそんなことを思っていると、意を決したのかジュリオが顔を上げてこちらを真っ直ぐに見えてくる。
「なに? なにかついてるのけ?」
「いえ、あの……ジャン、さん」
「はいはい」
「――キス、を……」
真剣なまなざしに胸が締め付けられる。
「ホンット、可愛すぎんだろ……」
「……え?」
「なんでもねぇよ。――ジュリオ、顔上げて」
「はい?」
きょとんとしながらも言われるままに顔を上げるジュリオの顎に手をかけると、そのまま引き寄せて口づける。
「ふ、……ぁ」
「……ん、……っ」
侵入してきたジュリオの下に歯列をなぞられて、背骨がぞくぞくと震える。
「あ、ふっ――ぅっ……」
抱き込むように背中に回ったジュリオの手を、やんわりと押さえつけながら顔を離す。
「ジャン……?」
ぼんやりと見上げてくる瞳に苦笑しながら、額を合わせる。
「ただいま、ジュリオ」
「――おかえりなさい、ジャンさん」
甘い声と共に近づいてきた唇を、幸せな気持ちで瞼を閉じながら受け入れた。
着ていたコートを脱ぎながらそう口にしたジャンの動きが、ぴたりと止まる。
「ジュリオ?」
いつもなら、自分がドアを開ける前に立っていたり、飛んで迎えに来るのだが今日はそれがない。
リビングから零れる明かりが、でかけていないことを示している。
なにかあったのかと首をひねりながらリビングに向かい、またジャンの足が止まった。
ガラス張りの扉の向こうにある大して広くないソファー。そこにジャンの視線は注がれていた。
ソファーの端から少しはみ出している、紫の髪とつま先。
湧き上がる微笑ましさのまま唇を緩めながら、そっとドアを開けた。
なるべく音を立てないようにしながらソファーへと近づく。
――――よく寝てんなー……。
しゃがみこんでじっくりとジュリオの顔を見る。
規則正しい呼吸音とそれに合わせて上下する胸。
穏やかな寝顔はまるでお伽噺から抜け出してきた王子のように整っている。
――――最近、仕事ばっかだったし、な。
このまましばらく寝かせておこうと思い、毛布を取りに立ち上がる。――と、ギッと床が短い悲鳴を上げた。
「ん……」
「悪ぃ、起こし……」
慌てて振り向きながら謝罪の言葉を口にするが、瞳はまだ閉じられていた。
起きなかったことにほっとしながらも、首をひねる。
ジュリオなら今の物音で起きてもおかしくないはずだ。
思わず、眠り姫のようなジュリオをじっと見つめてしまう。
――ぴくり、とジュリオの頬がわずかに跳ねた。
「…………」
――――なるほど。
ジュリオの思惑に気付いたジャンの顔が、いたずらを思いついたような子供のそれになる。
「――オヒメサマを起こすのは魔法のキスだったっけか? ……ま、この場合王子だけどな」
誰に聞かせるでもなく呟くと、眠っているジュリオのそばまで戻り、体をかがめる。
唇が重なるまであともう少し――というところで、ジャンは思い出したように声を上げ、体を起こす。
「俺、鍵締めたっけ?」
そう言いながらソファーから離れようと踵を返す。ドアへ向かおうと足を踏み出した。だが、ジャンはそこから動くことは出来なかった。
いつの間にか起き上がったジュリオがジャンの腕をつかんでいたせいだ。
「はよ、ジュリオ」
なにか言いたげな瞳でこちらを見てくるジュリオに、ニッと笑って返す。
「あ……おはよう、ございます」
「腹減ってないか?」
「大丈夫、です」
「そっか」
そんな短いやりとり。ジュリオの腕は離れることなく――それどころか先ほどよりもしっかりとつかまれている。
「どした? ジュリオ」
「あ、の……」
「んー……?」
言葉の続きを口にしようと唇が動くが、そこからは吐息しか出てこない。
戸惑うように視線が泳ぎ、伏せられる。
――――あー……俺のほうが限界っぽい?
苦笑しながらそんなことを思っていると、意を決したのかジュリオが顔を上げてこちらを真っ直ぐに見えてくる。
「なに? なにかついてるのけ?」
「いえ、あの……ジャン、さん」
「はいはい」
「――キス、を……」
真剣なまなざしに胸が締め付けられる。
「ホンット、可愛すぎんだろ……」
「……え?」
「なんでもねぇよ。――ジュリオ、顔上げて」
「はい?」
きょとんとしながらも言われるままに顔を上げるジュリオの顎に手をかけると、そのまま引き寄せて口づける。
「ふ、……ぁ」
「……ん、……っ」
侵入してきたジュリオの下に歯列をなぞられて、背骨がぞくぞくと震える。
「あ、ふっ――ぅっ……」
抱き込むように背中に回ったジュリオの手を、やんわりと押さえつけながら顔を離す。
「ジャン……?」
ぼんやりと見上げてくる瞳に苦笑しながら、額を合わせる。
「ただいま、ジュリオ」
「――おかえりなさい、ジャンさん」
甘い声と共に近づいてきた唇を、幸せな気持ちで瞼を閉じながら受け入れた。